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Shūmatsu Nani Shitemasu Ka? Mō Ichido Dake, Aemasu Ka? / What Do You Do At The End Of The World? May I Meet You, Once Again? / Чем займешься во время апокалипсиса? Увидимся ли мы ещё хоть раз? / Sukamoka

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Парящие острова спустя несколько лет. Сиквел повествует о следующем поколении фей!Продолжение истории фей, показывает все их слезы и надежды!Таинственные «звери» уничтожили человечество. Только фея, владеющая мечом «Карильон» может победить зверя. После сражения Карильонами феи, исчерпавшие свои силы погибают, а мечи переходят к другим.«Мне нравиться самопожертвование, это так романтично!»«Вы, все! Вы это понимаете, не так ли?!»Мимолётная повседневность сформированная на фоне конфликтов фей (Леприконов) и молодого офицера из расы демонов (Импов).Тиат, Колон, Лакиш, Панибал становятся взрослыми феями!Cайт команды Free studio https://www.free-novel.net/ здесь вы можете ознакомится со всеми работами команды и будущими проектами.
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Парящие острова спустя несколько лет. Сиквел повествует о следующем поколении фей!Продолжение истории фей, показывает все их слезы и надежды!Таинственные «звери» уничтожили человечество. Только фея, владеющая мечом «Карильон» может победить зверя. После сражения Карильонами феи, исчерпавшие свои силы погибают, а мечи переходят к другим.«Мне нравиться самопожертвование, это так романтично!»«Вы, все! Вы это понимаете, не так ли?!»Мимолётная повседневность сформированная на фоне конфликтов фей (Леприконов) и молодого офицера из расы демонов (Импов).Тиат, Колон, Лакиш, Панибал становятся взрослыми феями!Cайт команды Free studio https://www.free-novel.net/ здесь вы можете ознакомится со всеми работами команды и будущими проектами.
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Shūmatsu Nani Shitemasu Ka? Mō Ichido Dake, Aemasu Ka? / What Do You Do At The End Of The World? May I Meet You, Once Again? / Чем займешься во время апокалипсиса? Увидимся ли мы ещё хоть раз? / Sukamoka

Роман

Shūmatsu Nani Shitemasu Ka? Mō Ichido Dake, Aemasu Ka? / What Do You Do At The End Of The World? May I Meet You, Once Again? / Чем займешься во время апокалипсиса? Увидимся ли мы ещё хоть раз? / Sukamoka

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終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?
Akira Kareno
русский||Завершенный
Парящие острова спустя несколько лет. Сиквел повествует о следующем поколении фей!Продолжение истории фей, показывает все их слезы и надежды!Таинственные «звери» уничтожили человечество. Только фея, владеющая мечом «Карильон» может победить зверя. После сражения Карильонами феи, исчерпавшие свои силы погибают, а мечи переходят к другим.«Мне нравиться самопожертвование, это так романтично!»«Вы, все! Вы это понимаете, не так ли?!»Мимолётная повседневность сформированная на фоне конфликтов фей (Леприконов) и молодого офицера из расы демонов (Импов).Тиат, Колон, Лакиш, Панибал становятся взрослыми феями!Cайт команды Free studio https://www.free-novel.net/ здесь вы можете ознакомится со всеми работами команды и будущими проектами.
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Парящие острова спустя несколько лет. Сиквел повествует о следующем поколении фей!Продолжение истории фей, показывает все их слезы и надежды!Таинственные «звери» уничтожили человечество. Только фея, владеющая мечом «Карильон» может победить зверя. После сражения Карильонами феи, исчерпавшие свои силы погибают, а мечи переходят к другим.«Мне нравиться самопожертвование, это так романтично!»«Вы, все! Вы это понимаете, не так ли?!»Мимолётная повседневность сформированная на фоне конфликтов фей (Леприконов) и молодого офицера из расы демонов (Импов).Тиат, Колон, Лакиш, Панибал становятся взрослыми феями!Cайт команды Free studio https://www.free-novel.net/ здесь вы можете ознакомится со всеми работами команды и будущими проектами.
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Серия Shūmatsu Nani Shitemasu Ka? Mō Ichido Dake, Aemasu Ka? / What Do You Do At The End Of The World? May I Meet You, Once Again? / Чем займешься во время апокалипсиса? Увидимся ли мы ещё хоть раз? / Sukamoka содержит интенсивное насилие, кровь / кровь, сексуальный контент и / или сильный язык, который не подходит для несовершеннолетних зрителей, поэтому блокируется для их защиты. Поэтому, если вы старше 18 лет.
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Глава 1
Shūmatsu Nani Shitemasu ka? Mō Ichido dake, Aemasu ka? / What Do You Do at the End of the World? May I Meet You, Once Again? / Чем займешься во время апокалипсиса? Увидимся ли мы ещё хоть раз? / sukamoka Том 1 (иллюстрации+том на японском)

Тиат Шива Игнарио

Лакиш Никс Сеньорис

Колон Рин Пургатрио

Панибал Ноку Катена

Феодор Джессман

6

最後まで、義兄は反対してくれていた。

けれど両親と祖父母が、どうにもその話に乗り気だった。

最終的には義兄も折れた。「どうしても嫩だと思ったらすぐ言うんだぞ」と何

度も少年に言い含め、無念そうに引いていった。

政略紘婚の話でぁる。

その時の少年は十歳で、相手の娘は七歳だという話だった。

案内された場所は、緑の深い公園だった。

両家で借りきったその公園のどこかに、相手の娘がいるということだった。

少年がその子を見つけて運命的に出会うところから、見合いが始まる。後は二

人で距離を縮めて、仲を深めてもらって、自然な流れで婚姻の話へと持ってい

く、と0

バカじやないのか。

こんだけ広い場所を借りきってまで演出しておいて、運命も何もあったもん

じやない。自然な流れも何も、段取りの最初から最後まで、不自然じやない場所

が一か所たりとも見当たらない。

聞けば、既に百近くの縁談を取りまとめてきた名媒酌人の手配であるらしい。

なんというか、その事実が既にうんざり案件だ。既に二百人近い男女が、こ、っい

うわけのわからないセンスに付き合わされてきたというのか。心よりご同情申し

上けます。これから自分もそつちに行きますので、どうかよろしくお願いしま

す。

そんなことを考えながら馬車を降りて、公園に入つた。

ちよっとした湖があって、それをぐるりと囲む遊歩道があって、花畑があっ

て、いくつもの森がほどほどに視界を遮っていて。さあ思う存分ドラマチックを

堪能しなさい、という意図が透けて見えて、どうにも胸焼けがしそうになった。

「......さつさと済ますかな」

気遣ってくれていた義兄には悪いが、今回の話について、少年は心底どうでも

いいと思つていた。

そもそも、十の子供を政略結婚のコマとしてホィホィ使ってしまうょうな家に

生まれたのだ。愛だの恋だのに夢を抱くょうな育ち方は、最初からしていない。

ついでにもうひとつ理由を挙げるなら、相手の年齢だ。

何だ七歳って。三つも下じゃないか。

今回の縁談を言い出したやつは、どうせ子供同士だから多少の差があったとこ

ろで問題はない、くらいにしか考えていなかったに違いない。大人にありがちな

勘違いだ。子供にとっての三年間という時間の大きさ、そこから出てくる絶望的

なまでの人生経験の違いというやつのことを、まったくわかっていないのだ。ど

んな大人だって子供だった時代を経験しているはずなのに、そういう当たり前の

ことをどうして忘れられるのか。

——さて、それはそれとして、その七歳児はどこにいるんだろう。

ありがちなロケーションから順番に潰していくことにする。

季節の花畑。いない。

丘の上のガゼボ。いない。

風の吹く遊歩道。一周してみたけど、それらしい相手は見つからない。

これはもしかして、もしかするのかもしれない。

何せ相手は七つである。今回のこの茶番の意味を正確に理解できているかも怪

しい幼さである。もしかして本当に、かくれんぼか何かと勘違いしているのかも

しれない。だとしたら、状況は少し厄介だ。何せこちらは、ドラマチックな演出

の妨げになるからか、相手の容姿さえまともに知らされていないのだから。

であれば、既にチェック済みの場所も、もぅ少し詳しく調べたほぅがいいか。

「まいつたな……」

面倒だなと思いながら、その場でくるりと振り返つた。

少し離れたところにいる小さな女の子と、目が合つた。

「............あ」

「............ひゃ」

考えてみれば、当たり前のことである。

大人の世界の面倒くささを既に受け入れていた少年と、それより三歳も若いこ

の少女とで、この状況に対する考え方が同じだとは限らないのだ。

強引に結婚させられるというその相手のことを警戒するのは当たり前。出会い

という決定的なィベントをできるだけ先延ばしにして、その間に少しでも相手の

ことを観察しておこうと考えるのも、まあ自然なことのはず。

「Фっっ」

悲鳴じみた小さな声、少女は踵を返して走り出そうとして、

ドレスの裾を踏んだ。

盛大にずっこけた。

薄い蒼色のレースを重ねた高価そうなドレスが、一瞬で土まみれになった。

「あ......うあ......」

女の子は頑張った。一瞬だけ、g堪えた。

一瞬しかもたなかった。ぺたんと土にお尻を落としたまま、土砂降りの空もか

くやという勢いで、わんわんと大声で泣き始めた。

湖の水をふくませたハンヵチで、顔についた土を拭ってやった。

ドレスの土は、できる範囲で払ってやった。

それでもぐずぐずと暗い顔はひっこまなかったので、少年は自ら近くの土の上

に身を投げた。ごろごろとその場で転がり、着ているスーッを徹底的に汚す。

その様子が、ょほどおかしかったのだろう。女の子はすぐにきょとんとした顔

になり、やがて、楽しそうに笑い始めた。

「どう?これで、怒られる時は僕も一緒だ」

「うん! I

びよこん。その子の尻のあたりから、黒毛のしっぽが飛び出た。

——その女の子は、先祖返りを起こしていた。

汚れた手袋を脱ぎ、ドレスの泥を払うと、はっきりと見てわかった。

徵無しの一族に生まれたはずなのに、遠く遡,,った血縁のどこかに混じっていた

獣人の血が、彼女の代で中途半端によみがえっていたらしい。

両手両足を覆う、薄い黒の毛皮。尻から生えた尾。帽子の下に隠されていた、

小さな子猫の耳。よくよく見ると瞳も猫のそれで、頰には六本ほどの細いひげが

生えている。

「ワタシみたいなデキソコナィには、ちようどいいエンダンだって」

喉のあたりにも違いがあるのだろうか、発音も少しだけ独特に聞こえた。

「あ一、なるほどなぁ」

おそらく、月並みにプライドの高い一族だろう。

そこに生まれた獣人もどきの娘など、邪魔ものでしかなかったはずだ。

ならば今回の政略結婚の話が強烈にゴリ押しされていた理由も納得できる。厄

介払いをしたうえで、良家二つの間のパイプを強化できる。この子の家の連中に

は、相当の妙手に見えていたに違いない。

「あなたは、ちやんと、シルシナシですか?」

「まぁ、いちおう、そうだね。徴無しだつてことを『ちやんと』と言つていいの

かは難しいとこだけど」

「エ? シルシナシなら、みんなとおなじ。ちやんとしてる。でしょう?」

「そのへんは、ケンヵイのソーイってやつかな。世の中には、君のご両親以外に

もいろんなやつらがいるんだよ」

「......むずかしいコトハ、よくわかりません」

「僕は十歳だからね。七歳よりいろんなことを知ってる」

「ズルい。ヮタシもすぐ十歳になります」

「そのころには僕は十三だ。今よりもっと勉強して、もっと物知りになってる」

「……ぅ一」

頰を膨らませる女の子の姿は、いかにも年相応で、可愛らしかった。

もちろん結婚適齢期にはまだまだ遠い。

けれど、魅力的だなと、認めざるを得なかった。

なんだかんだで、ドラマチックな出会いをさせられた。距離も縮まったし、仲

もよくなってしまった。後は自然な流れで婚姻話に至るだけ。

まさかすべてを計算されていたというわけではないだろうけれど、結果的には

思惑通りに動かされた形になるわけだ。なんというかこう、むかつく。

「ぁの」

怒りが顔にでも出ていたのだろうか。どことなく申し訳なさそうに、女の子が

泥まみれの袖を軽く引いてくる。

「今日、ワタシ、もうかえらないと、いけないんです」

言われて気づいた。けっこう時間が経っている。湖のそばに据えられた大時計

を見れば、予定の終了時間まであと十分も残されていないとわかる。

「そうか。ま、そこそこ楽しい時間だつたよ」

言って、その場でかるく伸びをした。

ここまで茶番に付き合ったのだから、もう、家族の期待には一通り応えたと思

う。祖ハカさんは「,/瞳ゥを使ってでもモノにしろ」と強硬に主張していたけれ

ど、正直そんな気にはなれないというかその必要もなかったというか。

だから、この話は、断ろう。

小さなこの子を(あと自分も)道具扱いするような計画には、失敗してもらお

、っ0

「今よりちよつと大きくなつたら、なんとかして家から出るといいよ。きつと、

今のまま徴無しの家に閉じ込められているより、過ごしやすいと思うから」

裾を引かれた。

「何?」

「おしまい、なんですか?」

11る。

「まだ、おハナシしたいです」

それは。

「僕の方は、別に話すことなんて」

据を握る小さな手に、ぎゅつと力がこもる。

たぶんこの子は、これまで、こ、ついうおしゃべりを許されないで育つたのだろ

う。

この子が無知でなくなつてしまつたら、徴無しではないという自分に負い目を

感じなくなる。それは一族の者にとつて面白くない。そんな理由で、鳥籠の中に

閉じ込められていたのだろう。

いまこの手を振りほどけば、それで終わり。

少年は、これまでと同じ生活の中に帰ることになる。

少女も、これまでと同じ生活の中に帰ることになる。

「おねがい、です」

使い慣れない勇気を振り絞っているのだろう。

少し息を荒くしながら、その女の子は#えかける。

「——また、いつか、会ってくれませんか?」

しょうがないな、と思う。

こんなの、断れるわけが、ないじやないか。

百組近くの縁談を取り持った誰かさんの腕を、称賛したくなる。

「わかったわかった。会うょ、会うから泣きそうな顔はやめて」

ひらひらと手を振つて降参のポ^ —ズ。

「ただ、長い付き合いになるかもしれないから、ちよっとは覚悟しといてよ?」

「長い......三年くらいです?」

「そんなので済んだら縁談って言わないんだよなぁ……」

三年後のこの子のことを考える。どんなふうに成長するだろう。

その後の未来のことも考える。どんなふうな女性になっていくんだろう。

そして、そんなことを楽しく想像している自分自身に気づき、悲しくなる。

「たくさん会えるなら、たくさんウレシィです」

「そうかそうか。春んでもらえて、僕も嬉しいよ」

ほんのちよっとの皮肉と、その奥底にこっそり隠した正直な気持ち。たぶん少

女はそんな細かいニュアンスにはまったく気づかずに、言葉だけをそのまま受け

取って、

「メィ!」

直視できないくらいに眩しい笑みを、浮かべた。

両親は喜んだ。祖父も喜んだ。

義兄だけが、どうにも複雑そうな顔をしていた。

けれど「普通にいい子だったから、普通の意味でおつきあいするだけだよ」と

説明すると、「そうか」と少し複雑そうに頷いた。

それからちよくちよくと、二人は顔を合わせる機会を得た。

会うたびに少女は、何か新しい話はないかとせがんできた。その期待に応える

ために、少年はそれまでにも増して勉学に藤まなければならなくなった。

不満がなかったわけじゃない。

主に先方の家のやり方などについてだが、苛立ちを感じたのもしょっちゅう

だ。

しかし、そういったものを差し引いてなお、それは楽しい毎日だった。

いつまでも続いていてほしいと、そう心から願えるょうな日々だった。

1•若き四位武官

ラィエル市は滅びると宣告されてから、そろそろ半年。

わかつていたことではあつたけれど、街は順調にゴーストタウン化していた。

毎日のょぅに人通りは減り続け、賑わっていた店餹街も次々とシャッタ1が下り

ていく。

幸い、晶貭のパン屋はいまだに営業中だった。品数が減ってきてはいるもの

の、定番の商品はまだ健在。すきっ腹の命ずるまま、袋で抱える量のドーナッを

購入する。

「ありがとうございましたぁ一」

店員の気の抜けた挨拶を背中に浴びながら、フエォドールは店を出る。

さて、どこに行こう。

兵舎に戻ってからこいつを食べるというのは、いまいちうまくない。どうせ外

出許可はとってきていないのだから、さほど急いで戻ることもない。せっかく私

服に着替えたこともあるし、どうせなら、見晴らしのいい場所で食べたいと思

、っ0

ド^~ナツのひとつを口にくわえもごもごとやりながら歩き出す。

この街特有の、年季の入った金属の匂いが鼻をくすぐる。

もともとここは、浮遊大陸群随一の鉱山があった場所だ。

急な山稜にへばりつくょうにして生きてきた鉱夫たちの居住区が、そのまま、

今ある街の母体となっていた。そこにまともな都市計画の入り込む余地はなかっ

た。バラックが建てられ、道が走り、路面気動車用の線路が敷かれた。すぐに、

建材としての石が不足した。豊富にあった鉄板が、その代わりを務めた。あちこ

ちから集まってきた岩小鬼やら紫小鬼やらが、次々に採掘用の機械仕掛けを取り

付けた。

道にも壁にも、所狭しと、正体不明のパィプやら雷気線やらが走っている。

おそらくは浮遊大陸群全体でもここにしかない、金属製の街並み。

「よっ、と」

表通りは、まだ歩きやすいほぅだ。場所によっては、馬車が通れるくらいの広

さと平坦さを確保した場所もある。

しかし少しでも裏道に入ると、状況は一変する。

まず、平坦な道というものがほとんどない。そこにあるものは急な坂道と、こ

れまた急な階段のどちらかだ。狭苦しい階段を昆って降りて、螺旋を描いてぐる

ぐる回る。どこもかしこも薄暗く、しかも素人目には似たょうな景色が続いてい

る。方向感覚なんてものはすぐに役に立たなくなる。ついでに言ぇば、方位磁針

なんてものが役に立つはずもない。

ライエル市は、余所者に優しくない街だ——などと言おうものなら、大抵のラ

イエル市民に「冗談だろ」と笑い飛ばされていたものだった。いわく、この街は

•ぃこг

誰にだって平等だ。地元の俺たちにだって、これっぽっちも優しかねぇょ。

それもすベて、過去のこと。

「おわった、った、った」

太いパイプに足をかけ、狭い隙間に体をねじこむ。

道なき道、街中の密林を分け入ってゆく。

この浮遊島の鉱山が閉じてから、もうだいぶ経つている。長い間、メンテナン

スされていないのだろう。途中で何か所か、古くなったリベットが外れて、滑落

しそうになつたりもした。

「……寂しいなあ」

太いパィプに腰掛け、ドーナツをくわえ、一息をつく。

視界の隅のほうを、小型の自律人形がちょこまかと走り抜けていくのが見え

た。

あれらは、製造時に刻み込まれた命令に忠実に動き続けるだけの道具だ。ある

程度複雑な命令も受け付け、その靼囲内であれば多少の判断力を持たせることも

可能。しかし、その命令の外側にあることは一切できない。

この街のどこかの機械をメンテナンスするように、造られたのだろう。そし

て、その命令には「休め」という一文が含まれていなかったのだろう。だから、

あれは、物理的に壊れて動けなくなるその時まで、ああやって仕事を続けていく

のだろう。

「寂しいなあ」

もう一度同じことをつぶやいて、立ち上がる。

廃劇場の脇にある小さな螺旋階段を昇り、重くさび付いた扉に突き当たる。

とにかくごみごみしているこの街の中では、遠くまで見わたせる眺めのいい場

所は限られる。そしてこの扉の向こう、ちょっと大きな建物の屋上であるその場

所は、その数少ない遠景スポットのひとつなのだ。

ここまでの道で、F.丨ナツを既に半分近く食べ終わってしまった。しかし言い

換えれば、残りの半分はまだ残っている。

「ほいへつほ」

さび付いた扉を、全身を押し付けるようにして、開く。耳障りな重い音。

視界が、一気に開ける。

雲海の向こうに、太陽が沈もうとしている。

眼下には、銅板をめちやくちやに張り重ねたような、薄汚れた街並み。

人の気配の驚くほど少ないその景色には、眠りの中に沈んでいるような静けさ

が、薄く穏やかに広がっている。

女の子がいる。

誰もいないだろうと思つていた。ほとんど確信していた◦だから驚いて、口に

くわえたままのド^~ナツを落としかけてしまつた。

広場の隅、手すりのない縁に腰掛けている。

足をぶらぶらさせながら、空っぽの目つきで彼方を眺めている。

その姿からは、まるで生気が感じられない。間違いなく生きているはずなの

に、まるでそう感じさせない。異様に精巧な人形を目の前にした時のような、不

安めいた澎和感。

その横顔からは、うまく感情が読み取れない。空っぽというよりも、その真逆

の表情。色々な感情がごちゃごちゃに混ざり合っているせいで、まるで灰色の空

洞だけが広がっているように見えてしまう。

-あ'—о

フエオドールはその場で、半歩引いた。

——これつて間違いなく、関わっちやいけないパタ丨ンだよね?

確信に近い思いを抱いて、背を向けようと決める。

何か悩みでもあるのかなとかトラブルでも抱えているのかなとか、そんな甘っ

ちよろいことは考えない。そんなもん、あるに決まつているのだ。わざわざこん

な場所まで来て、あんな顔までしていて、その原因が「最近ちよっと体重計に乗

こっ

るのが怖くて」程度のことだったりするはずがない。

しかも、よく見ると、さらにアレだ。この少女、角も牙も生えていないし、白

い胍は毛皮や鱗で覆われてもいないし、背中や尻から翼や尻尾がによっきり生え

てもしなし。

そういう外見を持つ種族は、俗に徽無しと呼ばれ、多くの者たちに嫌悪されて

いる。一般的に不吉の象徴とされてすらいる。近づいてはいけないし、関わって

もいけない。どうせ、ろくなことになりはしない。

そのことをよく心得ていたから、フエオド^ —ルは、

「危ないよ」

そう声をかけた自分自身に、本当に驚いた。

慌ててばしんと右手で口を覆ったけれど、もちろん間に合わない。言葉は少女

の耳に届いてしまつた。

まるで、初めてこちらに気づいたかのように——もちろんそんなはずがないの

だけど——少女はぱちくりと瞬き顔を上げ、こちらを見た。視線が重なった。

その表情に、生気が宿って……いや、戻っていた。

年はおそらくフエオドールの少しだけ下、十代の半ばといったところだろう

か。若草色のふわふわした髪が風に躍り、深緑色の瞳於夕陽を照り返してわずか

に揺れている。

ャバぃ。

関わってはいけないと結論した直後に、思いきり関わってしまった。

「ほへ?」

まるで小さな子供のようなあどけない顔で、少女はまばたきをひとつ。

「あ一。大丈夫よ? すべって落ちるみたいなドジはしないし。それにこ

こ、下は水が溜めてあるみたいだから万一の場合も安心だし」

そう言って少女は_分の腰挂けている崖の下を見下ろした。それはまぁ確力

に事実だろう。ここの下には、ちよっとした深さの貯水槽がある。落ちたところ

で命に係わるというようなことは、まずないだろう。

「でも、心配してくれたのね。ありがと」

少女は笑った。

屈託のない、いい笑顔だった。少なくとも、そう見えた。つい先ほどまでの翳

りはまさか幻か何かだったのかと、疑いたくなるほどに。

「いや、そうい、っ意味じゃないんだよ」

会話を切り上げてもいいタィミングだった。このまま無言で立ち去っても、不

自然さはなかったはずだった。しかしフНオドールは、言葉を付け加えた。

「察するに君、よその街から来たばかりだろ?」

「うん、そうよ? I

「じやあちよつと、聞いてほしい。

この街は昔、大きな鉱山だった場所なんだよ。近くの浮遊島で貨幣が刷新され

てた時期なんかには、そりゃもう大勢の採掘師が集まってきてた◦採掘用の機械

仕掛けが次々導入されて、居住区の建て増しなんか全然間に合わなくてさ」

少女が首をかしげる。

「今じやその鉱脈はすっかり涸れたけど、名残は色々残ってる。この街のほとん

どは銅板とリベットでできてるし、山を切り崩した斜面が多いし、居住区のあち

こちに仕掛けられた機械は今もまだ稼働中だ」

「う、、っん? 変わった眺めの街だなってのは、見てわかるけど」

改めて、少女は街を見下ろす。

「土の地面とかぜんぜん見えないのに、なんだかあったかい感じがするのね。石

造りの街とかとはまったく違う、不思議な感じ」

「それは、まあ......」

あったかい感じというのはもしかしたら、市全体の地下に温水を循環させるよ

うに大がかりな機械仕掛けが埋め込んであるからかもしれない……などと言った

ら、この娘はどう反応するだろうか。驚いたり感心したりするだろうか。呆れた

りつまらなそうな顔をするだろうか。喜んだり笑ったりするだろうか。

「ちゃんと、見ておきたかったんだ。自分たちが、何のために命を遣うのか」

——不思議なつぶやきを、聞いた。

「知らない場所を歩いて、知らない景色を眺めて、知らない人と話して◦そうし

たら、ちよっとだけでも知ってる場所と、ちよっと知ってる景色と、ちよっと

知ってる人のために戦えるじゃない? そっちのほうが、ずっとがんばれると

思って」

「君、何かと戦うの?」

「うん」

少女は、秦氟に頷いた。

「きみが話しかけてくれて、よかった。街を歩いててもさ、全然他に誰もいない

んだもの。まさかもうみんな死に絶えた後なのかあ!って、ちよっと怖くなっ

ちやつた」

「ああ——わかるわかる、その感じ。街の中で動いてるのが自分一人だったりす

ると、世界の終わりって感じするんだよね」

「そうそう。しかも自律人形だけはへ一ぜんと仕事とか続けてるのが、なんかこ

う、すごく不気味な感じに見えちやうの」

お互いの言葉に共感しあい、二人で何度も頷き合う。

そのうちおかしな気分になってきて、どちらからともなく笑いだす。

ふと、気づいたことがひとつ。

「さっきの話の続き。それなんだけどさ」

少女の腰掛けた場所の近く、継ぎはぎに継ぎはぎを重ねた壁面を指さす。目立

たない色の古びたランプが、ちかちかと明滅している。

「これ?」

「そう、それ。この街にも、眺めてるだけじやわからない地元の風景、ってのが

あってね。具体的にはそのランプとかがそうなんだけど」

「、っん」わかってない顔。

「さっき言った、稼働してる機械だよ。もちろん完全に昔のままってわけじやな

くて、いまは少し改造されて暖気の確保とか用水の管理とかに使われてるんだけ

ど、機械そのものが古いのはどうしようもなくて、特に排気あたりのシステムが

従来のままで」

「、っん」わかってない顔。

「アラートランプが光った後、ときどき、派手に蒸気を噴いたりする」

計ったょうなタィミングで、フエオ^ルが言った通りのことが起きた。

さほど温度が高いわけでもない◦量も密度も大したことがない。直撃したとし

ても、やけどなどの心配はまったくない。

この街の住人であればとりたてて驚くこともない日常の光景。

そしてもちろん、この街にまだなじんでいない異邦人の少女は、

「んがあっ!?:」

やたらと雄々しい悲鳴をあげて、思いきりのけぞった。

ずるりと尻がすべった。

繰り返すが、少女の腰掛けていた場所の真下には、ちょっとした深さの貯水槽

がある。落ちたところで命に係わるということは、まずないだろう。

どっぼお一ん。派手な水音と、それに負けない水柱。

「だから危ないよって言ったのに」

貯水槽から少女を引き上げた。

「その後の話が長すぎ……」

「うんまぁ、それについてはごめん。つい興が乗っちやってさ」

冬は過ぎた。毛皮のない自分たちでも、そこそこ暖かく風を受け止められる季

節だ。しかしさすがに、全身びしよ濡れのままで過ごせるというほど暖かいわけ

ではない。

「早く帰って、お風呂に入ったほうがいいよ。道とかは、大丈夫?」

「だ、大丈夫……」

ぷるぷると少女は小さく体を霞わせる。

「いい、今のは、別にびっくりしたとかじやないんだから◦少し泳ぎたいなって

思ったから、自分で飛び込んだんだから。わかる?」

あまりに無茶苦茶な強がり。ぶっ、と思わず吹き出してしまう。

「いや、それはさすがに無理があるよ」

「う......やっぱり?」

気まずそうに、少女は視線をあさってのほうに向ける。意地っ張りなのか素直

なのか、よくわからない子だ。

ぶへくし、と力強いくしやみ。

「ほらほら、急いだほうがいい。この街は、陽が落ちた後の冷え込みがすごいん

だ。こんなことで風邪をひくのもバカバカしいだろ?」

っするI

ぶるるっとまるで犬のように体を震わせる。

「その……危ないつて教えてくれてありがとね、あんまり役には立たなかつたけ

ど」

「ひとこと余計だけど、どういたしまして。ほら、はやく帰つた帰つた」

しつしと手を振つて追い払う。

「うん、そうするI

へくしつ、と今度はそれなりに可愛らしいくしゃみ。

少女はフエォドールに背を向けて、

「あのさ。お互し名^も知らなしのに変なことを言う力もしれなしけど」

「え?」

「わたしのことは、忘れてくれると嬉しいかな」

奇妙なことを言い残し、ぱたぱたと水滴を辺りにふりまきながら、駆けだし

わざわざ言われるまでもないことだと思つた。

何せ、今の自分は、伊達眼鏡をかけていない。

あれがないと、うまく愛想笑いができないのだ。今の自分はきっと、みっとも

なく顔をひきつらせていたに違いない。あの少女は特に何とも言っていなかった

が、内心では呆れていたかもしれない。互いに見知らぬ同士、二度と会わないだ

ろうことは幸いだつた。このまま忘れて、なかつたことにしてしまいたい。

「……本当に、何やってるんだろうな、僕は」

真顔で、忌々し気に吐き捨てる。

ドーナツをくわえて、嚙み砕いて、飲み込む。

ふと、遠い空のほうに目をやる。

今日は、よく晴れている。視界を遮る雲がないから、いつもより遠くまで見渡

せる。

雲海の彼方に、ひとつの黒い塊が、ぽつりと浮かんで見える。

39番浮遊島。

/V > ノ

ほんの五年前までは、この38番浮遊島にとつての、良き隣人だつたもの。

肥沃な平地を擁し、近隣の浮遊島の食糧事情を力強く支えていた。獣人を中心

に、多くの種族の者たちが住み暮らしていた。

すべては過去形だ。五年前のあの日、あの島のすべては変質した。

今のそれは、浮遊大陸群の空を漂う、巨大な墓標であり——

〈重く留まる十一番目の獣〉という名の脅威、そのものたつた。

この世界はずつと、破滅の傍らにある。

この手の話題の始まりに挙げられるべきは、やはり、人間種の暴虐と、地上の

終焉であろう。

今を生きる者にとってはにわかに信じがたいことではあるが、かつて、あの地

上の広大な土地は、そのほとんどが肥沃であったのだという。緑で覆われていた

り、海という名の巨大な水たまりがあったり、数えきれないほど多彩な生き物で

溢れていたりした。

その地上を滅ぼしたのが、人間種だった。

彼らは、強大にして理不尽な侵略者である〈十七種の獣〉を生み出して世界に

放った◦そいつらはあっという間に、人間種ごと地上を食い尽くし、何もない灰

色の砂原へと変えてしまった。

かろうじて生き延びたわずかな者たちは、大賢者という偉人の導きにょって、

空の上へと住み処を移した。

〈十七種の獣〉は空を飛べない◦無数に浮かぶ巨大浮遊岩の上に住み着いた彼ら

あ,い

は、ひとときの安寧を得ることができた。脅威の届かないその場所を新たな住み

処にしょうと、家を建て地を拓き、街を興していった。

地上は広く、浮遊岩の上は狭い。

失ったものはあまりに大きく、残されたものはあまりに小さかった。

それでも彼らは、_分たちを受け入れてくれる最後の天地を浮遊大陸群と名付

け、新たな故郷とした。

それから五百年以上の時が流れた。

いちおぅは平和と呼べる日々が続いていた。

その間、〈十七種の獣〉の襲撃がまったくなかったわけではない。幾つもの浮

遊島が墜とされたし、そこに生きていた者たちの命は失われた。

けれど言い換えれば、被害はそれだけに抑えられていた。

地上そのものをあっといぅ間に滅ぼした〈獣〉の脅威に脅かされ続けながら、

浮遊大陸群はそれでも空に浮かび続けていた。

そんな日々も、五年前のあの日、突然に終わりを迎えた。

その日、 が11番浮遊島に現れた。

その二月後、

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Shūmatsu Nani Shitemasu ka? Mō Ichido dake, Aemasu ka? / What Do You Do at the End of the World? May I Meet You, Once Again? / Чем займешься во время апокалипсиса? Увидимся ли мы ещё хоть раз? / sukamoka Том 1 (иллюстрации+том на японском)
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